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2019年ゲーミング振り返り+2020年に期待したいタイトル

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 2019年は私のゲーマー人生の中でも有数の、ゲームをする時間がない年だった。

 とはいえ振り返りをできる程度にはPCゲームを触ったと思うので、2019年も残り数時間を切ってからこの記事を慌てて書くことにした。

 今回は2019年のゲーム界隈の話題と動向、良かったタイトルについて少し、そして個人的に期待している2020年発売予定の作品をいくつか紹介していきたい。

 

 

2019年振り返り

 アジアの片隅で私たちはどのようにチートに向き合うべきだろう

  2019年の3月、大ヒットバトロワタイトル『Apex Legends』の開発元Respawn Entertainmentが、ローンチから僅か一ヶ月ほどで35万以上のアカウントをBANしたと発表したことは記憶に新しい。その時点で5000万近いアカウントが存在したF2Pタイトルとはいえ、チートツールの使用が検出されたアカウントがひと月で35万というのは尋常ではない数字だ。

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画像はEA公式ページ(https://www.ea.com/ja-jp/games/apex-legends)より

 2017-2018年のPUBGチート禍害から、バトルロイヤルタイトルにとってチートツールとその使用者は特に深刻な問題のひとつとして広く認識され、今なお抜本的な解決策のない状態が続いている。BANされてもアカウントを作り直すだけで何度もチートツールを使用できるF2Pタイトルでは運営と不正ツール使用者のいたちごっこが繰り広げられ、まさに「ゾンビアタック」状態となっているのは想像に難くないが、PUBGやBattleFieldVのような買い切りタイトルでもチートツール使用者は日々確認されており、完全に排除することは難しい

 PvPゲームにおけるチートツール使用は対戦という形式の根幹を揺るがし、ゲーム内で散見されるようになれば明白なチートツール使用者に遭遇しなくても「自分を打ち負かした対戦相手はチートツール使用者なのではないか」という疑念がプレイヤーに取り憑いてしまう。チートツール使用者はゲーマーの中で最も忌み嫌われる存在のひとつであり、先のApex Legendsのコミュニティでもチート蔓延の原因を中国人プレイヤーたちに見出した人々によって「REGION LOCK CHINA(中国をサーバー隔離しろ)」の嵐が吹き荒れた。

 私は19年中に2人の中国人のフレンドから近年のチート問題について意見を聞く機会があった。流暢な英語話者で物理学を学んでいる学生だというP君は、17年にPUBGで初めてPCのゲームをプレイした比較的新規のゲーマーだった。彼は概して中国のプレイヤーのゲーム内マナー、リテラシーが他の世界のプレイヤーに比べて低い傾向があると考えており、「中国でも普通にプレイしている人はみんなチーターが嫌いだが、黙ってチートにやられるくらいなら自分もチートを使ってやり返す、という考え方を持つ人も一定数いる。そうした人たちの存在がチート人口を増加させている」と私に説明してくれた。ゲーム内アイテムを得て換金し、収入を得る目的でのチートツール使用の存在についてはゼロではないとしながらも、先に述べたような「ゲーム内での勝負」がゲームで禁止されている不正なツールを使ったところにまで延長されている構造が中国人のチートツール使用者が多い主因だとしていた。

 一方で私よりも長い14年というSteam歴を持つV氏はチート使用率が昨今になって急激に増えたとは思わないという。Counter Strikeなどのコミュニティでは古くから公然とチートツールを使用して憚らないプレイヤーがある程度存在したし、そうした一部のプレイヤーが海外のサーバーを「荒らしに」行くプレイを楽しんでいるのも昔から行われているという認識だった。彼の論では「近年になって中国人のチートツール使用者が増えたのはPCゲームを遊ぶ人が増えたからに過ぎず、今も昔もごく一部の人間だけがそうした不正ツールを使っている。日本のようなPCゲーム人口の少ない国から見れば数が多いように感じるかもしれないが、それは中国人プレイヤーが派手に荒らすことを好むからというのもあるだろう」と、あくまで中国のゲーム人口が増えたことがチートツール使用者の増加の原因で、中国のプレイヤーが諸外国に比べて著しくチートツール使用率が高いわけではないと考えていた。

 両者の意見に共通しているものとして中国でも大多数のプレイヤーは真っ当なプレイヤーであり、そうしたプレイヤーたちは皆同じようにチートツール使用者を迷惑な存在だと感じている(当たり前の話だが)ということだった。もちろん2人とも過去にチートツールを使ったことはないという。ただし中国プレイヤーのチートツール使用率が他の国々に比べて高いのかどうかという点については意見が分かれた。私も気になったのでデータを探してみたが、残念ながら有用なものは見当たらなかった。

 私たちが向き合わなければならないのは、今や世界有数のゲーム大国となった中国という国の隣にいるという事実だ。世界中にインターネット網を張り巡らされた現代においても地理的な要因はゲームに影響を与えている。中国のプレイヤーたちは意図しなければpingの低いサーバーに自動接続され、韓国や日本、台湾といった国々のプレイヤーと同じアジアサーバーや、東南アジアサーバーにやって来ることになる。例えばBattleFieldVのRedditでは、日本のコミュニティに比べてチート問題が話題に上がることは少ない。V氏の言葉を借りればチーターが北米サーバーを「荒らしに」行くことはあっても、オートマッチングで接続した大多数のチーターはアジアのサーバーに行き北米サーバーへの影響はアジアのサーバーに比べて限定的だからだろう。中国人プレイヤーたちは今やアジアのサーバー人口において多数派を占め、ゲーム内VCでも中国語が通じる前提で話しかけてくる。昔からマイノリティであった日本人PCゲーマーはこの先、ますますマイノリティになる。ゲームでのチート問題は遥か昔から存在するが、今後私たちは自身のプレイ環境を向上させるために彼らのカルチャーを理解しようと努め、彼らにも私たちの立場を知ってもらわなければならないだろう。安易な”国民性”という言葉を用いたレッテル貼りで扉を閉ざしても、アジアの片隅でゲームするマイノリティの立場は改善しないのではないか。

 

 大君の自由度

 話題を変える。今年発売された『Planet Zoo』の話をする。Planet ZooはPlanet CoasterやElite: Dangerousなどの作品で知られるfrontier社の新作で、Planet Coasterのエンジンとシステムを基本としながら動物園を自由に作る・運営する、いわゆる「Tycoon系」のゲームだ。Tycoonというのは日本語の「大君」から来た言葉で、何でも自分の思い通りに出来るマネジメント・経営系ゲームに使われる(リソース管理要素が強いゲームはTycoonとは呼ばれない)。

 過去に水族館を作るゲーム『Megaquarium』の記事でも言及したが、近年このジャンルは今ひとつ良作が出て来ず、Planet Coasterの高いクオリティが称賛されたfrontier社の新作には高い期待が持たれていた。

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画像はPlanet Zoo公式(https://www.planetzoogame.com/)から。

 私もまだ長い時間をPlanet Zooに費やしたわけではないが、そのクオリティは確かなもので、自由度、グラフィック、システムなど、思い通りの動物園を作ることができるゲームとしては現状ベストな選択肢になるだろう。

 だが私はPlanet Zooにハマることができなかった。面白くなかったからではない。自分の思い通りの動物園を作ることが、あまりにも時間と労力を必要としたからだった。Planet Coasterでも証明されていたことだがPlanet Zooは本当に自由度が高いゲームで、園内のオブジェクトはほぼ全て手を加えることができるし、売店の壁ひとつまで自分の好きなように組み合わせることができる。3Dになった飼育エリアは往年のZoo Tycoonのようなゲームよりも草木や岩、餌箱などの配置に気を使う必要があり、動物の満足度を満たしつつ見た目で自分の満足度を満たす難易度は格段に上がっている。

 ハイイログマの飼育エリアをいい感じに作って、そこまでの道を整備して来場者の動線を考え、装飾品を配置する。これだけでも相当な労力を要するが、動物園全体を作るためにはたくさんの飼育エリアを用意した上でスタッフのマネジメントや遺伝子的に強い動物の交配といったゲーム的要素もこなさなければならず、細部にこだわって作らなくても動物園を形にするまでが途轍もなく遠い道のりに感じられた。

 Planet Zooでは大君のように動物の種類や展示エリアの壁の色まで自由に決めることができるが、街灯の向きの調整など大君らしからぬ作業もしなければならない。実在の動物園や空想上の動物園をサンドボックスライクな世界で再現したいという人には最高のゲームと言えるだろうが、作り込みもそこそこに動物園経営や大まかなデザインを楽しみたいプレイヤーには厳しいタイトルだった。今後Steam Workshopにユーザー作成のアセットが充実していけば少し楽になるとは思う。

 今年のTycoon系ゲームでもう少しライトに遊びたいという人は是非『Parkasaurus』をおすすめする。オーソドックスなTycoon要素を残しながらポップなグラフィックときれいなUIで思い通りの動物園(恐竜園)を作ることが出来る。デフォルメされた恐竜の見た目を許せるなら試してほしい。

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画像はSteam製品ページ(https://store.steampowered.com/app/591460/Parkasaurus/)から

 もしおすすめのTycoon系ゲームがあるならコメントで教えて頂ければ幸いである。

 

 Worlds Adriftの死

 これについては過去記事で触れたので再度言及することもないのだが、私にとっては今年のゲームニュースで最大のものだった。こうした小規模開発のMMOで成功した事例はほとんどなく、この作品もその例に漏れることはなかったが、最高の飛空艇オープンワールドサンドボックス物理エンジンアクションMMOだった。今年の下半期はことあるごとにこの作品と比較してしまったくらいにはAdriftロスを噛み締めて生きている。

 

 他にもいくつか振り返りたいタイトルや体験はあるのだが(オートチェスやEscape from Tarkovの隆盛、シミュレーター系など)あまり新規の話題にはならないと思うので割愛する。

 

2020年に期待したいタイトル

 年内に投稿しないと意味がないのでここから先は少し駆け足で書いていく。2020年発売予定(予定はあくまでも予定だが)の作品について私が注目しているものをいくつか紹介する。

 

Mount & Blade II: Bannerlord

store.steampowered.com

 最早全人類が発売日を知っているのではないかというくらい発売が心待ちにされている本作だが、名作Mount&Bladeシリーズの系譜を引く正規ナンバリングタイトルで、中世の西欧、東欧、アラビア、ノルドあたりの文化圏をモチーフにした自由度の高いアクションRPG、という説明になるだろうか。プレイヤーは傭兵隊長のような身分で各地を転戦して戦利品を得たり、村人を山賊から助けたり、村を略奪したりすることになる。王に仕えてもよし、自身が王になることを宣言して独立勢力を作ってもよしのゲームで、前作『Mount&Blade: Warband』は完成度の高いmodが豊富にあったことも相まって今でも人気を集めている。

 何年も前から開発の情報はちらほら出ていたが、今年に入って正式に発売時期がアナウンスされ、開発チームの情報発信も本格化した。目下ファンの心配は予定されている発売日通りに発売されるのか、そして肝心のmodへの対応がどの程度行われるのかだろう。Mount & Blade II: Bannerlordは2020年3月に発売予定だ。

 

 Starbase

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 Starbaseがどんなゲームかを説明するのは難しいが、先に挙げたWorlds Adriftの開発中止が決まったときに移住先としてフォーラムで名前が出たようなゲームだ。開発チームの計画は非常に野心的と言わざるを得ないほど壮大だが、既にある程度形になって来ている。基本的には宇宙をテーマにしたボクセルベース・物理エンジンを使用したMMOで、クラフト要素がかなり作り込まれている(Empyrionよりも出来ることが多いように見える)ほか、「全てのものを破壊できる」ことが大きな売りとなっている。プレイヤーは宇宙船をクラフトし、敵と戦ったり貿易をしたりしながら船を大きくし、果ては宇宙ステーションの建設まで出来るようだ。宇宙船の動作をコントロールする要素として簡易的な独自プログラミング言語も用意されている。

 パーツ別に構成されるミサイルの設計や一人称視点での船内移動などまさに夢が詰まった作品になる予定ではあるが、技術的問題をすべてクリア出来たとして大規模集団とソロプレイヤーの格差是正やPvE要素の充実など、MMOとして楽しめるバランスに仕上げることが出来るかがこの作品の未来を大きく左右することになりそうだ。

 

Kerbal Space Program2

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 宇宙物をもうひとつ。学校の理科の授業で導入するならMinecraftではなくKSPにすべきと言えるほど科学ものサンドボックスとして評価が高かった前作は宇宙開発をテーマに据えたゲームで、パーツを組み合わせて好みのロケットを製作する自由度と軌道投入やランデヴーなど打ち上げ後のオペレーションのリアルさが人気を博した。

 前作では重力の強さや惑星のサイズがゲーム向けにデフォルメされている以外極めてリアルな太陽系ライクな星系が舞台とされ、プレイヤーは試行錯誤して宇宙でミッションを実行出来るロケットを開発することになる。このロケット開発が難しく、しっかりと計画を立ててプレイしなければ人工衛星を静止軌道に投入したり、月面着陸したりなど夢のまた夢である。私の過去のプレイでは火星の極軌道に通信衛星を投入して火星に着陸船を送るまでは成功したが、計算を誤って火星重力圏から脱出する燃料が足りずに宇宙飛行士が取り残されてしまった。

 ゲームとしての出来が非常に良く、失敗を繰り返しながら楽しく遊んでいるうちに宇宙開発技術に詳しくなっているという作品だった前作のいいところを引き継ぎつつ(mod機能も全面サポートが約束されている)、刷新されたグラフィックスや待望のマルチプレイヤー機能を追加して2020年リリース予定のKSP2にはぜひ期待したい。

 

 今回は紹介できなかったが、他にも既にアーリアクセスが開始されているThea 2: The Shatteringや次空間列車に乗って冒険するマルチプレイヤーVoidtrainなど、今後機会があれば紹介したい。

 2020年、私も皆さんも楽しいゲームライフを送ることができるよう祈りたい。